2018年1月1日月曜日

203 ガンと戦うぞー野菜ジュース療法ー

検査が続き、治療がいつ始まるのかわからないなかで、体のあちこちが痛くなり、確実に状況が悪化しているのがわかる。崖っぷちにたたされ、一歩誤れば断崖絶壁から落ちてしまう、そんなイメージだった。
何とかガンと戦う手段はないものかと考えていた。そんな時、ガンと戦う「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」が見つかったホップは「野菜ジュース療法」、ステップは「食事療法」、ジャンプはガンに克つ「セルフ治療」である。どんな風にしてガンと闘ったか、順番に述べていこう。

(一)野菜ジュース(その一)―ホップー
 いろいろ模索していた10月末、家内が人参ジュースの話を思い出した。これはもう20年ぐらい前に読んだ本に出ていた記事で、ある末期ガンの患者が、車椅子に乗ってアメリカに治療に行き、毎日人参ジュースを3,000cc飲んで元気になり、自分の足で歩いて帰ってきた話であった。アメリカで、ガン治療として食事療法が注目され始めたころの話だ。末期ガンの患者が人参ジュースで回復し、歩いて帰ってきたこと自体驚きであったが、実は、渡米時に禿げ上がっていた患者の髪の毛が、帰国の時、黒々と生え揃っていたという話が面白く伝えられたので、記憶に残っていたのであった。

 ガン治療の先進国で人参ジュースが飲まれているなら、ものはためしと早速始めることにした
(409ゲルソン療法参照)
ジューサーがなかったため、ミキサーで作ることにした。人参をミキサーにかけてみたが、硬くて飲めない。つぎは人参を茹で、それからミキサーにかけた。柔らかくはなったが、どろどろとしてこれも飲むのに大変。どろどろしたところに缶詰のホールトマトをくわえて流動性を高めた。それでも、人参トマトポタージュのようなもので、作るのも飲むのも大変な代物であった。
それでも家内は一生懸命で、冷蔵庫に一日1,000ccを作りおいてくれた。これを5回に分けて飲んでいた。
これが第一世代のポタージュ風人参トマトジュースで、約10日間飲み続けた。

(二)野菜ジュース(その二)
 千葉駅の井上記念病院についてはすでに触れたが、検査が昼休みをはさんで午前と午後にまたがったため、昼休みは待合室でパンを食べながら新聞棚から新聞を取り、なにげなくページをめくっていた。すると突然『今あるガンが消えていく食事』(済陽高穂著ビタミン文庫マキノ出版)という本の広告記事が目に飛び込んできた。なにか運命的なものを感じてしまった。
 病院の帰り道、千葉駅の本屋で探したが見つからなかった。家内に頼んで翌日買ってきてもらい、斜め読みしてジューサーを即刻買いにいった。そのとき、痛い足を引きずり家内の肩につかまりながら、駐車場まで惨めな思いで歩かなければならなかった。ガンが転移して痛みが広がってきたのであろう、もはや躊躇はできなかった。
 翌日、11月11日から済陽式食事療法を開始した。食事療法については後ほど触れたいと思う。ここでは野菜ジュースについて触れておきたい。

 野菜ジュースを始めたころは一日2,000ccを飲んでいた。二週間が経過したころ肺炎になり食事が喉を通らなくなってしまった。このときは食事代わりとして、一日4,000cc以上を飲んでいた。その後は3,400から3,500ccを目標にした。野菜の栄養素が転移している体全体にいくようにと考えて、アメリカの事例にみる3,000ccより多く、というごくごく単純な考えからはじめた。
 一日3,400から3,500ccは半端な量ではない。初めのころは食欲がなくなる、トイレの回数が増える、下痢の心配もあった。

 試行錯誤のすえに次のようなスケジュールとなった。
ポイントは一日5回に分けて飲むと決めて、朝起きたとき1,000ccを一気に飲む、あとの4回は600ccずつを分けて飲む、夕方までに一日の量を飲みきり、夜は飲まない。夜のトイレ対策である。
5回に分けたのは、体がいつも野菜ジュースで満たされているイメージを想定したからである。作り置きはせず、一回ごとに飲む分を作ることにした。
 ジュースを作るところから片付けまでは、一回当たり30分かかるから、ジュースの間に食事、朝寝、読書、昼寝、風呂など一日がかなり忙しい。
 朝は家内も一緒に400cc飲むことから、二人合わせて一日あたり3,800ccとなる。一日に使う野菜の量も半端ではない。一日に使う野菜は、

人参2キログラム強 りんご2個半
キャベツ一個半 大根400グラム
セロリ5から6本 ピーマン4個
たまねぎ2個 キュウリ2本
レモン3個から4個 オレンジ1個

 一日に使う分量をあらかじめ切り、柑橘類は皮をむいたりしてプラスチック製容器にわけて、冷蔵庫に入れておいてもらう。飲む時間にこれを取り出し生ジュースにする。
 人参はビタミンCを破壊する酵素が入っているため、必ずレモンと一緒にジュースにした。

手荒れ・かぶれにご用心
 なお、これは注意事項だが、野菜を大量に処理するため、手が荒れたり、皮がむけたり、割れたりする。野菜のアクが強烈で、手が弱い人は炊事用の手袋の着用をすすめたい。
ジュースを飲む時は口の周りにくっつく、これが「かぶれ」の原因になる可能性がある。飲んだあと口の周りを石鹸で洗うのをおすすめしたい。

旬の野菜を選べば良い
 素材は、季節の旬の野菜を選べばいいと思っている。冬の間は白菜を使った。いささか水増しのきらいはある。
春になると、春大根、セロリ、ピーマン、たまねぎを入れたジュースが強烈。我が家ではこれを「四天王ジュース」といっている。細胞がいっせいに目覚めるような刺激が来る。だんだん過激にバージョンアップしてしまった。
夏になればゴーヤ、明日葉などが加わる。ゴーヤも強烈である。

なお材料のグラム数を書いておいたが、あまりグラム数にこだわらず、最後はキャベツの量で調整するくらいの軽い気持ちでいいと思っている。

(三)野菜の買出しと・ごみ捨て
 野菜の買出し、ごみ捨ては大変であった。医者からは骨折の心配があるといわれていたから、力仕事は私にはできなかった。すべて家内がやってくれた。野菜・果物は重くて運ぶのに大変。
家内はリュックサックを担いで買い物に行く。重さに耐えかねて一時背中を痛めてしまったこともあった。
 近所にアメリカの倉庫店「コストコ」があって大いに助かった。品質が良くて、安くて、量があり、世界各国から季節に合った食材を集め、販売しているからまことに便利である。一週間に二回買出しに行く。マンションの駐車場から三階まで10キログラムのリックサックを背負い、大きな買い物袋に大量の野菜を入れて運ぶ。それも二回である。大変な重労働である。

 ときどき横浜の友達からは「野菜・果物の宅急便」が届く。家内の母親からは、生協で買ったキャベツだとかりんごが届けられる。家内の弟ご夫妻は、市場に行ったといっては野菜・果物を届けてくれた。同じマンションの人も買出しを手伝ってくれたし、家庭菜園の野菜を分けてくれた。病気をして、実に多くの人から支えられているのを感じる。
 ごみの量も大変だ。大きなビニール袋を二回に分けて捨てに行かなければならなかった。一時、ベランダで土と混ぜて堆肥にしようとしたが、量が多くなりすぎたこととハエが群がってしまうことで断念した。

(四)冬は寒さとの戦い
 ジュースを始めるにあたって下痢の心配があった。現役のころ、千葉から東京に通っていたが、自宅から会社までのすべてのトイレを知っていた。腸過敏症と医者はいい、よく下痢をしていた。ひどいときは、夏でもビールを飲むと翌日かならず下痢をした。だから夏でもお酒を飲むときは、ビールはやめて温かい日本酒か焼酎のお湯割りを飲んでいた。
 そんなわけで真冬に朝1,000cc、一日通じて3,000ccの冷たいジュースには抵抗があった。便の回数は増え、便はゆるくなったが、幸いにして下痢にはならなかった。
「案ずるより生むが易い」だったが、ジュースを飲むにあたっては、朝、サツマイモを一切れ、ヨーグルトを一日450cc摂って、整腸作用に役立てたいと考えた。これが効いたのかどうかはわからないが、下痢にはならなかった。腸は免疫作用に重要な関係がある。野菜ジュースで栄養素を補っても、下痢で腸の免疫力を損なっては大変だ。

厳寒に震えながら飲んだジュース
 ジュースを飲むに当たってのもうひとつの悩みは、真冬に冷たいジュースを飲むと体が震え上がってしまうことだった。
それにしても体が震える。対策としては、ジュースを飲んだあと、「効いている、効いている」と声を出しながら手足を動かして、暖をとる原始的な方法をとっていた。よその人が見たらいささか怪訝に思うだろう。
 もうひとつの対策は、ショウガ湯である。ショウガをあらかじめ千切りにして乾燥させておく。飲むときに、一つまみコップに入れて電子レンジで加熱する。黒砂糖を入れるとおいしく飲める。これを飲むとショウガによって身体が熱くなる。ショウガを食べるとより効果的であった。「効く・効く体操」と「ショウガ湯」で、何とか厳寒を乗り切ることができた。

(五)夏は暑さとの戦い
 冬が終わると、今度は気温の上昇にたいして、野菜の鮮度をいかに維持するかが問題となってきた。人参の根が出てきたり、たまねぎの芽が出てきたり、腐り始めたりとなかなか難問である。暑さが厳しくなると野菜の腐り方が早くなる。
 キャベツは新聞紙にくるんで保存しているが、結局は買出しの回数を増やすしかないようだ。大量のジュースを飲むだけに、悩ましい問題である。野菜の種類によって保存法が違うのだろうが、ぜひ知っている人にめぐり合いたいものである。
 暑さとの戦いで、もう一つ難問は大量のごみである。ゴミ袋に入れてマンションのベランダにおいておくと、ごみの汁がにじみ出てくる、臭いがする、ハエのようないろいろな虫がわんさかと集まってくる。これも現在試行錯誤で、これといった妙案がない。
(507野菜ジュースとPSAの推移参照)

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